スワヒリ娘のダル大留学奮闘記〜タンザニア人と“rafiki”になりたい!〜

スワヒリ語を学んでいる女子大生がタンザニアのダルエスサラーム大学に留学。リアルなタンザニアライフを綴る留学奮闘記。

強盗に遭った次の日に考えたこと。

 

 

強盗に遭ったのが昼の1時すぎ。それから色々あって家まで送ってもらったのが夜の9時ごろ。疲れていたはずなのに、文章にしなければという謎の使命感に駆られてブログを書き、ツイッターとインスタで記事を共有して眠りについた。

 

金曜日は朝の7時から授業がある1週間で一番留学生らしい日。いち早く元の生活に戻った方が気が楽だろうと思ってちゃんと6時半には起きた。

 

通知の量を見てびっくりした。ツイッター内で繋がっている人や、会ったこともないし、なんならフォローもされてない人が私の記事に対して色々コメントを述べてくれていた。

「怖かったね。」「命があってよかった。」

「ゆっくり休んでね。」

「貴重な記事を読ませてもらった。」

「犯罪の細かい状況を共有してくれるのはありがたい。」

「やっぱアフリカ怖い、、」

「無抵抗を貫いたのがえらい」

「知らない人の車に乗るなんてありえない」

 

心配をかけてごめんなさい。ありがとうという気持ちが強かったと同時に『命』という言葉に重みを感じた。そうか、今回はお金を盗られただけで無傷で解放されたけど、暴行されていたら、ナイフを出されていたら、強姦されていたら、、、

 

『命』を失っていたかもしれない。もっともっとトラウマになって沈んでしまっていたかもしれない。

 

そんなことを考えつつもなぜか私は意外とあっけらかんとしていて。授業に行って朝ごはん食べて。増えていく通知を見ながら、警察署にポリスレポートをもらいに行く準備をした。しばらく乗り物に乗るのは怖いかと思っていたけどいつも通りUberを呼んで警察署に向かった。

 

強盗に遭ったことを中々タンザニア人の友達に言えずにいた。心配の嵐にどこか疲れてしまっていたのかもしれない。何度もあのことを説明するより今は早く元の生活に戻りたかった。でもUberのドライバーは一回きりだしなぁと思って警察署に向かいながら昨日のことを話した。

 

「大変だったね。」「お疲れさま。」「あの辺りは泥棒が多いからね。」「簡単に人を信じてはいけない。」「よく知らない人の車に乗ってはいけない。」

 

まるで私の昔からの友達かのように、彼は私の話を聞いてくれた。心配してくれた。注意してくれた。そして、

 

「これだからタンザニアが悪い国だと思われてしまうんだよな。」

 

彼はボソッと言った。違う、そうじゃない。確かに嫌な思いをすることも多いけど、それでも、、、

 

「でも、私はこの国のいいところをたくさん知ってるよ。」

 

そんな言葉が咄嗟に出た自分にびっくりした。もうタンザニアなんて嫌だ、日本に早く帰りたいと最近は口癖のように言っていたのに。それでも、この国には、彼のように日本人よりも何倍も親切な心で、人懐っこい人柄で、私と接してくれる人がいるんだ。

 

いつもは1日で70アクセスも来れば大喜びのこのブログも1日で2000アクセスもいただいた。犯罪の経緯を情報として提供することの価値を感じたと同時に、やはりこういったネガティブな話題は人の注目を浴びやすいのだなと思った。

 

もちろん私含めだが、人の不幸話というのは人の幸せそうな話よりも気になるものだと思う。しかし、もともとネガティブなイメージが強いアフリカという場所を語る上で、どうしてもそのネガティブさだけが先行するのは嫌だった。前ブログを書くときにそこはちゃんと念押ししたつもりだったが、ちゃんと伝わっただろうか。

 

強盗に解放された直後は、タンザニア怖いからもう嫌だとか思ってたけど、次の日には意外と普通に戻っていた。モバイルバッテリーはいるしなぁと思って買いに行ったり、カードの不正利用補償でお金返ってくるんじゃね?とか思って調べたり。

 

なんでこんなにも普通の生活に戻れてるんだろう?冷静なんだろう?

 

自分が楽観的な性格というのもあると思うが、一番大きいのは、いつだって本当にしんどくなったら日本に帰ってやろうと思っているからだと思う。しんどくて毎日泣くような生活をするなら帰ってもいい。もうダメだと思えばやめればいい。

 

21年生きてきて、自分の限界が分かるようになってきているからこそ、そんな自分が無理だと思うのならいつだって投げてしまえばいいのだと、必要以上の無理はしなくていいと、いつだって心のどこかで思ってる。

 

迎えてくれる家族が、友人がいるとわかっているからこそ、私には変な余裕があるのだ。これ以上嫌なことが起きてもう無理だと思えば帰ればいい。逆に言えば、自分の今の感じを考えると、帰る必要はないんだろう。じゃあ、いち早く元の生活に戻って楽しく生きた方がいい。

 

それにこんな目に遭っておいてなんの説得力もないけど、この街は、ダルエスサラームは、防犯を怠らなければ、危ない目に遭わずに生活できる街なんだ。「犯罪率100%」とか「凶悪都市」とか言われることが多いけど、現に私は7ヶ月間もなんの犯罪にも巻き込まれずに生活してきたんだから。

 

そんなダルでの生活も終盤に差し掛かっている。来月には東アフリカ諸国の旅も待ってる。一人だしやっぱ怖いしやめよっかなとか思ったけど、見たい景色が言葉が、そんな怖さを全力で飛び越えてきたのでたぶん行くんだろう。

 

たくさんの人に心配をかけて本当に申し訳ないけど、初心に帰って、二度とこんなことに巻き込まれないようにしたいと思う。