スワヒリ娘のダル大留学奮闘記〜タンザニア人と“rafiki”になりたい!〜

スワヒリ語を学んでいる女子大生がタンザニアのダルエスサラーム大学に留学。リアルなタンザニアライフを綴る留学奮闘記。

人生で初めて「差別」を受けた〜中国人差別と半年間向き合った私の記録〜

 

Mambo!

 

こんにちは!ルナです!

 

今回はタンザニア留学を初めてから約半年間、私が向き合ってきた「差別」についてお話ししたいと思います。

 

どんな風にこの記事を書くか、すごく迷いました。この中国人差別、引いてはアジア人差別について、自分がどんな風に向き合っていけばいいのか、私の最終的な答えはまだ見つかっていません。

 

だから、これまで私がこの差別をどんな風に捉え、考えてきたか、お話ししたいと思います。(ちょっと言ってることむちゃくちゃだけど許してね)

 

1. 初めてのタンザニア渡航

 

大学2年の夏、私は友人とタンザニアをバックパッカーとして1ヶ月旅しました。

 

旅の途中、街を歩いていると、

 

「Mchina!(中国人!)」

 

と声をかけられることが度々ありました。海外旅行経験はあっても、それまで「中国人!」なんて言われたことがなかったので、少し戸惑いましたが、

  

「確かに日本人と中国人って似てるし、私たちもその人がアフリカのどこの出身かなんて見分けつかないもんな〜」

 

ぐらいにしか思っていませんでした。

 

2. タンザニア留学開始

 

約半年前、私の留学は始まりました。私は町を歩いて見て回ることが好きなので、留学開始当初からよく一人で出かけていました。

 

町を歩いていると、こんな声が聞こえてきます。

 

「Mchina!(中国人!)」

「China!(中国!)」

「ニーハオ!」

「フンハ!(おそらくカンフーのマネ)」

「(半笑いで中国語のマネをしている)」

 

タンザニアでは中国の進出が著しく、かなり多くの中国人労働者が働いています。だからアジア人は彼らにとってみーんな「中国人」になってしまうのです。

 

留学が始まってワクワクしている私は、中国人だと間違われていることよりも、みんなが話しかけてきてくれることに喜びを感じていました。

 

3. 何度も何度も同じことが繰り返される

 

留学開始後1ヶ月もすると、私はどんどん「中国人」と間違えられることがめんどくさくなってきました。と同時に、そのことにイライラするようになってきたのです。

 

町を歩く時だけでなく、大学内で知らない人とすれ違う時も、「中国人」とか「ニーハオ」って言われるし、

 

「どこ出身なの?」とも聞かず、いきなり「中国語を教えてよ!」とか「中国に連れてってよ!」とか言ってくる。

 

その度に、「私は中国人じゃなくて日本人だよ」と言わないといけなくて、1日に10回も20回もそんなことをしていると、さすがにそのルーティーンに疲れてくるのです。

 

自分に余裕がある時は、まだいいのですが、疲れていたり、イライラしたりしていると、もうほんっとに腹が立って、聞こえないように舌打ちしまくってました(笑)

 

スワヒリ語に慣れてくると、楽しい会話ができるようになると同時に、聞きたくないような会話まで聞こえるようになってしまいます。

 

後ろを歩いている人たちが、「この中国人、タンザニア人みたいな服装してるね」と言っていたり、中国語のマネをしたりしているのが、嫌という程鮮明に聞こえるようになってくる。

 

その度に「私は日本人だよ!」と言って、そしたら、「君たちは似てるからね」とか「どうして君たちは似てるの?」とか言ってくるのです。知らねーわそんなの!!

 

似てるからって中国人だって決めつけていいわけ?まずは、どこ出身ですか?って聞くのが筋でしょーが!

 

4. じゃあ、どうして嫌なんだろう?

 

私は中国人と呼ばれることについて、ちゃんと考えてみることにしました。

 

私はどうして中国人と呼ばれるのが嫌なのか。

 

もちろん私は日本人で、中国人ではないから。それは1つの理由です。

 

でも、なんとなく自分の中で、「あのマナーの悪い中国人ではなくて、私はスワヒリ語も喋れる日本人ですよ」みたいな気持ちがあるような、ないような。

 

え、だとしたら、私も中国人を差別してないか?いや、自分のアイデンティティを守るために怒ってるだけなのか?

 

5. なぜ彼らはアジア人をみんな中国人と決めつけて呼ぶんだろう?

 

受け取る自分の気持ちだけではなく、タンザニア人たちの立場になって考えてみる。

 

人権教育みたいなのをちゃんと受けてないのかな、教育を受けたくても受けれない人もいるもんな、ただ単に構って欲しいだけで悪意はないのかな、

 

悪意がないなら、それが無知から来るものなら、私は彼らを責めることはできないのかな? 

 

6. じゃあ、自分は日本でどんな風にしてた?

 

スワヒリ語を学ぶまでは、「タンザニア人」ではなく、「アフリカ人」として一括りで見てた。

 

お笑い芸人が中国人のマネするの見て笑ってた。

 

中国人が買い物するの見て、「爆買いやん」とか近くで言ってた。

 

あの人たちが日本語分からない前提で喋ってたけど、もしかしたら意味わかってたのかもしれないな。傷つけてたのかもしれないな。

 

やばい、私もやってるじゃん。

 

7. 諦めよう

 

考えれば考えるほど、分からなくなるし、タンザニア在住の日本人の方たちにどうしているのか聞いてみると、大概の対策法は、「無視」。

 

「いちいち気にしていたらキリがないから、気にしない方がいいよ。」

 

そんな声が多く聞かれました。

 

私もだんだんそんな風に思えてきて、「気にしないようにしよう、もうあきらめよう、考えないようにしよう」

 

そう思うようになりました。

 

 ただ、「ニーハオ」と言われるのに対しては、「こんにちは」って言われてるのと同じなのかな、と思って、「ニーハオ」って答えてました。

 

8. ケニア旅行

 

3月、私はケニアに旅行に行きました。

 

ケニア人たちも私を中国人だと決めつけて声をかけてくることが多かったのと同時に、

 

ケニアでは、「チンチョンチャン」という中国人差別用語が、タンザニアよりもかなり使われていました。

 

少し歩けば道から「チンチョン」バスから「チンチョン」お店から「チンチョン」

 

多い日だと大袈裟じゃなくて、100回ぐらいは言われていたと思います。

 

ここで私は、もう一度中国人差別と向き合うようになります。

 

やっぱり、おかしい。

 

教育が足りていない、それが差別用語だと分からないで使ってることもある、構って欲しいだけ、、、

 

それでも、差別は差別だよね?

 

日本人や韓国人など他にもアジア人がいることが分かっていて、「中国人」って決めつけて呼んでくるって、それ自体すごく失礼なことだよね?

 

私も日本でたくさんの外国人を傷つけていたかもしれない、私も「差別する側」だったかもしれない、だけど、だからって、「差別される側」になっても仕方ないっていう諦めは、必要ないよね?

 

おかしい、やっぱ、おかしい!

 

9. 他の国ではどうだろう?

 

私は、タンザニアとケニアにおける中国人差別、さらに、ツイッターで見ているアフリカ関連の人たちの中国人差別に関する情報しか知りませんでした。

 

私は、外国語学部に所属していて、友達の多くが海外経験または留学経験があるので、インスタグラムのアンケートで、こんな質問をしてみました。

 

『海外渡航または在住経験者に質問です。中国人差別、またはアジア人差別を受けたことがありますか?』

 

合計30人から返答を得て、はいが12人、いいえが18人、という結果になりました。まぁ、私のフォロワーに偏りがあるし、フォロワー全員が返答したわけではないので、この数字には何の意味もありません。

 

アフリカ渡航経験者で「いいえ」と答えている人もいたし、同じ国に留学しているのに、回答が分かれているパターンもありました。

 

ダイレクトメッセージで自分が受けた差別について教えてくれた人がいたので、抜粋して紹介します。

 

私の大学はアジアについての理解とか興味があまりない人が多いなぁってたまに感じるアウェーな感じの印象の地域にいるんやけど、中国人グループが少し大きめの声で中国語で会話してたときに、これだからアジア人は...ここは自分らの居場所でもないのに...みたいなことをボソッといってるのを聞いたり、グループワークが一緒になったときに明らかに避ける、嫌がった感じの顔をする、みたいなことをされた。(アメリカ)

 

日本人だからって理由で優遇されることが多い。中国人は嫌いだけど日本人は好き!ってはっきり言われます。中国人の、ミャンマーでのビジネスにミャンマー人が良い印象を持ってないのが原因だと思われています。(ミャンマー)

 

Non-europian的な扱いを受けたことがある。studentだと言っているのに1€多く払わされたことがあるのと、クラブ的なところで在留カードみせたら入れてもらえなくてパスポートを出せって言われたことある!ほかのEU諸国民はそのままIDやったり、学割みせやんくても割引してもらってたのに私だけ言われたから、私差別されてるのかな?て思った(フィンランド)

  

もちろん、中国人と呼ばれることは多いですが、それは基本的に悪気があって言っているようには感じないため、差別を受けてるなーとは思わないです。(ケニア、パラグアイ)

 

ここは移民の町だから全くないよ〜(アメリカ、カリフォルニア)

 

差別感じたことあったかなって考えてみたけど、思い当たらなかった(オーストラリア)

 
友達といる時に水風船を投げられた。私以外オージーかインド人で、その子達と街の外れを歩いてる時に、私に向かって水風船を投げてきた。投げてきた人達(5-6人、車に乗ってた)は、オージーの男性。なんか叫んでたけど聞き取れなかった。/ 授業中、明らかにオージーとアジア系のグループに分かれてる、オージーは積極的にアジア人とは話さない。(オーストラリア、キャンベラ)

 

以上、コメントをくれたみんなの意見を抜粋してみました。

 

差別を受けた経験を話してくれた子たちの最後に必ずと言っていいほど付け加えられていたのは、

 

「でも、みんながみんな差別するわけじゃないよ!〇〇人はいい人もいっぱいいるよ!」

 

という言葉。国名を出させてもらったので、ここは誤解のないように押しておきます!!!

 

あと、何人か中国に留学している人たちへの配慮が欠けていたなと思いました。また、話を聞かせてください!

 

ちょっと話がずれましたが、何がわかったかというと、

 

中国人差別、アジア人差別は、アフリカだけでなく、世界中に存在するということ。

 

10. じゃあ、どうして中国人が差別されるんだろう?

 

マナーが悪い人のイメージが強いから?政治、経済的な問題?

 

11. 中国人たち自身は声を上げているんだろうか?

 

人口が多くて、差別に直面している人も多いし、黒人差別の歴史を経て、世界的に人権が尊重される社会になってきているのに、どうしてこの差別は見過ごされているんだろう?

 

私が知らないだけ?

 

日本人である私がこの差別に関して声をあげるとすればどんな方法があるだろう?

 

そもそも、これは中国人に対する差別なのか、アジア人全般に対する差別なのかどっち?

 

12. おわりに

 

正直全然終われないんですけど、私の思考は今のところこのあたりまでしか進んでいません。

 

まぁまだ留学期間は残っているので、これからも色んなことを考えていくのだろうなぁと思います。

 

世界には、さまざまな種類の差別があります。

 

白人から黒人、黒人からアジア人、アジア人からアジア人のように、肌の色や国籍に関する差別。

 

LGBTや障害者に対する差別。

 

悪意のある差別もあれば、無意識の差別もあります。

 

誰もが「差別される側」になる可能性があり、誰もが「差別する側」になる可能性がある。

 

私はこれまで、差別をされていると感じたことがありませんでした。

 

 きっとずっと、無意識に差別する側でした。

 

でも、タンザニアに来て、外国人になって、マイノリティになって、差別を経験しました。

 

される側になって初めて、私は差別と向き合いました。

 

こんな差別が沢山ある世界で私たちにできることは何でしょう?

 

私にはまだ、答えが見つかっていません。

 

これまでのブログで一番長い記事になりました。もうすぐ終わりますね。

 

読みながら違和感を感じた人もいるかもしれませんが、このブログはテーマが一貫していません。最初は「中国人」と間違えられることついて話していた私が、ある時から「中国人差別」について話すようになっています。

 

私は、「ニーハオ」のように挨拶をされることと、

 

「中国人!」とか「中国!」のように国籍で人を呼ぶという行為と、

 

「チンチョンチャン」とか中国語のマネを馬鹿にしたような口調で言ってくることと、

 

「中国人」だからという理由で理不尽な扱いを受けることは分けて考えるべきだと思っています。 

 

どこまでが差別なのか、どこから怒っていいのか、線引きが難しいですが、、、

 

私の留学が終わる頃には、もっとちゃんと意見が言えるようになっていることを期待して!

 

この記事はおわりです!

 

モヤモヤってしてます?その気持ちを大切に!

 

では。